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無から有

続・幸せの方程式(34) 【 インディア ⑥ お別れ 】

幸せの方程式(34) 【 インディア ⑥ お別れ 】   僕は、シャンカールのヨガ道場に戻り、帰りの身支度を整えた。   シャンカールは、にこやかな表情で道場の外まで、僕を見送った。   シャンカールは、僕の逝き先をガンジスから日本へと切り替えた。   僕を出迎えた時の無表情なシャンカールは、もう、そこにはいない。   手を千手観音像のように振り回 […]

続・幸せの方程式(33) 【 インディア ⑤ ナマステ】

幸せの方程式(33) 【 インディア ⑤ ナマステ】     僕はあぐらをかいてその場に座り、静かに目を閉じた。   僕に不幸を呑み込むことができるのだろうか?   麻里奈への感情を噛んで噛んで味わい尽くし、麻里奈を許せない気持ち、怒り、悲しみ、胸の痛み、失望、絶望を、呑み込んで無くしてしまうことができるというのだろうか?   「そんなの無理だろう […]

続・幸せの方程式(32) 【 インディア ④ ガンジス 】

幸せの方程式(32) 【 インディア ④ ガンジス 】     「あとは、僕の自由ということか。」 シャンカールの「やるかやらないかは、ユウが決めることだ。誰もユウを助けられない。誰もユウに干渉できない。ユウは完全に自由だ。同時に、ユウは全責任を負う。」という言葉が思い出される。 僕は、外に出て、ガンジス川へ向かった。 3年ぶりに再会したガンジスは、相も変わらず、大量の水をゆっ […]

続・幸せの方程式(31) 【 インディア ③ シャンカール 】

幸せの方程式(31) 【 インディア ③ シャンカール 】     ガンジス川上流、静かな田舎に住むシャンカールは、僕を出迎えたが、表情一つ変えず何も語らず無言のまま僕をヨガの道場へと案内した。 シャンカールは、既に、抜き差しならない状況であることを察知していた。 僕の質問にも気づいていたようだった。 インドの夏は、うだるように暑い。 シャンカールは、20畳ほどのヨガ道場へと僕 […]

続・幸せの方程式(30) 【 インディア ② 無精卵 】

幸せの方程式(30) 【 インディア ② 無精卵 】     僕は、フツウにそのまま麻里奈の部屋に入った。   が、フツウでない光景を、目にすることになった。   麻里奈が、洗面台で頭を下向きに垂らし、むせるようにして嘔吐している。   麻里奈とは、毎日、メールで連絡を取っていたが、数日前から少し様子が変だった。   僕は心配しながらも、 […]