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こんにちは 

0次元カウンセラーのぶさんです!  

( はじめましてのかたは、こちら。 )

 

みんなシアワセを望んでいるはず 

 

なのに   

なぜ   

 

みんなシアワセになれないんだろう

なんていうことを、

僕は、ずーっと考えていました。 

そんな、変な人が僕です。

変なおじさんって言われるくらいなら、

良いのですが、

変人と呼ばれたり

変態って呼ばれると

さすがにちょっと…。 

 

 

話がそれてしまって

すみません。

 

何の話かと言うと、

シアワセになりたいと思っているのに、

 

シアワセになれない。

なぜだろう    

 

という問いに対する一つの答えが、

シアワセになりたいと  

思っていないから。  

 

だったりします。

 

 

例えば、

もしも、自分が、

明るく、元気ハツラツ! 

だったら…。

どうでしょうか?

 

 

人目が気になってしまう? 

偉そうに見られるんじゃないか? 

嫉妬されるんじゃないか? 

イジメられるんじゃないか? 

余計な仕事を頼まれるんじゃないか? 

 

 

などなど…。

 

 

シアワセのマイナスの側面や、

シアワセのデメリットを、

 

反射神経的に、

無意識に、

 

察知して、

心の底で、

シアワセを拒んでいたりします。

 

 

そして、それが、シアワセになれない理由だったりします。 

 

幸せの方程式(22)

【+-ゼロ=無=光 ② 不幸を食べる】

 

 

シャンカールの優しさを感じた僕は、徐々に落ち着きを取り戻した。

「でも、僕はどうすれば…。」僕はうつむいたまま、独り言をこぼした。

「不幸を呑み込んでしまいなさい。不幸が無くなるまで不幸を食べてしまいなさい。そうすれば、不幸が無くなる。」

と、シャンカールが静かに答える。

「えっ? 不幸を食べてしまう…?不幸を食べれば不幸が無くなる…? はぁ…?」

僕は、顔を上げ、冗談みたいなことを真顔で言っているシャンカールの顔をじっと見た。

シャンカールは表情を変えることなく、机の上に用意されていた、シナモンの香りがするインドのミルクティー「チャイ」を、ティーポットからカップへと静かにゆっくりポトポト注いだ。

「ユウは、このチャイを無くすことができるね。」

シャンカールはそう言いながら、黒くて太い人差し指、中指、親指で、カップが乗っているソーサーを掴み、音を立てないようにそーっと僕の胸の前に置いた。

僕は、「チャイを無くす?」とシャンカールの意味不明な言葉に疑問を感じながらも、両手のひらを胸の前で合わせ「いただきます」と囁(ささや)くように言い、オレンジ色がかった乳白色のチャイを飲んだ。

チャイは冷め、ほぼ常温になっていたが、このうだるような暑さでは冷めているくらいがちょうど良かった。

シナモンのほど良い香りが僕の気持ちをさらに落ち着かせ、カルダモン、ジンジャーなどのスパイスが、僕のカラダを芯から温めた。

外は暑いのに、僕のカラダの芯は意外に冷たかった。

「できたじゃないか?

ユウは、チャイを無くすことができた。

だから、ユウは不幸を呑み込み、不幸を無くすことができる。

不幸な思考、不幸な感情、不幸な運命…。不幸というものを全て呑み込める。

そうすれば、不幸が無くなる。

そうすればユウは、ワクワクするようになる。

ワクワクしているとそのワクワクと現実とが共鳴・共振し、ユウはシンクロ二シティと呼ばれる奇蹟を体験する。

それこそ、ユウが『手に入れたい』と言っていた本当の幸せだ。

つまり、本当の幸せとは、無から生じたワクワクとシンクロニシティを体験するところにある。

そして、その幸せとは、無から生じた無条件、無償、無限の幸せとなる。」

「無から生じた、無条件、無償、無限の幸せ…?」

僕は、ダジャレみたいなシャンカールの言葉を「冗談で言ってるんじゃないですよね?」と確認するように繰り返した。

「そうだ。表現を変えれば、無条件、無償、無限の『愛』がユウの中から生まれる、とも言える。

しかし、『不幸はまずい。』『不幸は苦い。』『不幸は美味しくない。』などと言って、不幸を食べないでいると、いつまでたっても本当の幸せは手に入らない。

幸せになりたいなら、不幸を避けたり、不幸から逃げたり、不幸に蓋(ふた)をしたりしてはいけない。

不幸という海の中にドボーンと飛び込み、どっぷり不幸に浸(つ)かってしまうのだよ。

そうすればいつか不幸はなくなる。もしかしたら、その期間は、数日、数ヶ月、数年、数十年になるかもしれない。

それでも、途中で、不幸を吐き出してはならない。まずくても、苦(にが)くても、辛(から)くても不幸を噛んで噛んで噛み尽くして味わい尽くすんだ。本当の幸せを手に入れられるかどうかは、不幸を味わい尽くし、不幸を吞みこんで無くしてしまえるかどうかにかかっている。」

シャンカールは、少し、間を空け、

「やるかやらないかは、ユウが決めることだ。

誰もユウを助けられない。

誰もユウに干渉できない。

ユウは完全に自由だ。

しかし同時に全責任を背負わなければならない。」

と続けた。

 

つづく

 


 

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続・幸せの方程式(20)

【潜在意識 ⑩ 心の中に突っかかっている】

 

 

「確かに彼は不幸な人生を選んだのかもしれないですが…。」

僕が、自信なさげに答えるのとは対照的に、シャンカールは、少し語気を強めた。

「ユウは、客観的に他人を見る時であれば、冷静に判断できる。

だから、『彼が自分から不幸を選択した。』ということは、ユウもある程度理解できるはずだ。

しかし、いざ、ユウ自身が不幸を体験しているとなると、『ユウ自身が自分から不幸を選択した』と冷静に考えられなくなる。

つまり、自分を客観的に見るということは、意外にもかなり難しいことなのだよ。

だからこそ、ユウはミーに会いに来たんだろう?

『自分では、どうにもならないが、ミーという客観的な人間に会うことで、自分を客観的に見られるようになる。』ということをユウの潜在意識は知っている。

だから、ユウはわざわざ、こんな遠いところまで飛行機に乗って来たのではないのかね?

つまり、ユウがここに来たことも、医者だった彼が不幸を選択したことも、『潜在意識に従った』という点では共通している。

彼も、ユウも、『潜在意識』に従って自分で選択し行動しているのだよ。

話を元に戻すが、

医者だった彼は、『将来の幸せのために、しばらくの不幸を自分から選んだ』ということは、もう分かったね?」

「確かに彼は『将来の幸せのために、しばらくの不幸を自分から選んだ。』ような気がします…。」

「そうだ。そして、ユウも同じだ。

もし、将来の幸せのために、しばらくの不幸を経験しなければならないのだとしたら、ユウはしばらくの不幸を選択する。

将来の幸せのためならば、苦しかろうが辛かろうが、しばらくの不幸を選択するのがユウだろ?」

「僕は『将来の幸せのためなら、苦しく辛い不幸を自分から選択する』人間だと?」

「そうだ。実際、不幸を味わったユウと不幸を味わわなかったユウでは、どんな違いが生じると思うかね?

不幸を味わったユウは、不幸を味わなかったユウより、人の気持ちが分かるようになったり、人を思いやれるようになったり、小さな幸せに大きく感謝できるようになったりするんじゃないのかね?

『ユウの苦しく辛い不幸な経験は、ただマイナスでネガティヴなだけの経験なのか?

それとも、その不幸な体験の中には、プラスでポジティブな側面が少なくとも一つはあるのか?』ということだよ。」

「それでも…。」

僕は、シャンカールの話に同意することを渋った。

心のどこかで、シャンカールの話にうなずけないでいる。

何かが、僕の心の中に突っかかっている。

 

 

 

つづく

 

 


 

 

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幸せの方程式(19)

【潜在意識⑨ 自分から不幸を選んでいる】

 

「そして、ユウは、寝ている時、自分で作った夢を自分で見ている。

目覚めている時、自分で作った現実を自分で見ている。」

と語るシャンカールに、僕は、こちらの世界で初めて質問した。

「寝ている時、自分で作った夢を自分で見ているというシャンカールさんの話には、『確かにそうかもしれない。』って思えるんですけど、

目覚めている時、自分で作った現実を、自分で見ているという話は、どうも、理解できないです。

確かに、眠っている時の僕も、目覚めている時の僕も、同じ僕なんですけど…。

『現実というものは、僕にはどうにもならない現実として、現に存在している。』という風にしか考えられないですよ。

たとえ、もし仮に、シャンカールさんが言うように、自分で現実を作っているのだとしたら、僕はこんなに苦しく辛い現実は作らない。

もし、自分で自分の現実を作れるなら、もっと、安定して楽しい現実を作ります。」

「そう言うと思っていたよ。

ここに来る人の8割は、ユウと同じことを言う。

だから、ユウが、『自分で現実を作っているのなら、こんなに苦しく辛い現実は作らない。』と言うのも仕方ない。

しかし、では、なぜ、さっきの医者は、自分から、不幸な人生を選んだのだと思うかね?

彼は、なぜ、自分から、体の弱い人間に生まれ、不幸な人生を生きることを決心したのだと思うかね?」

「『彼が自分から不幸を選んだのは何故か?』ですか?」

「そうだ。彼は、不幸な人生を選んだじゃないか。」

「確かに彼は不幸な人生を選んだのかもしれないですが…。」

シャンカールの話を理解するのは難しい…。

 

 

つづく

 

 


 

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【それだけのこと】

しばらくして、コトハが2杯目のアイスコーヒーを持ってきた。というより、僕がアイスコーヒーを飲みたいと思ったとおりにコトハが動いて、アイスコーヒーを持ってきた。

コトハは、相変わらず静かだが力強い言葉で話す。

「お兄ちゃん、自分を責めないでね。今回の経験はお兄ちゃんの中の罪悪感を知るためには、とってもいいことだったの。コトちゃん、最初にお兄ちゃんは永遠に生きるって教えてあげたよね。」

僕は、もう忘れていた。

確かに、「人は永遠に行き続ける」とコトハは言っていた。ヒマワリは冬に枯れるが、また春になると芽を出す。だからヒマワリは永遠に行き続けていると。だから「僕もコトハも10万歳だ」と。

コトハは言う。

「現在は過去だし、現在は未来。だから現在を変えれば、過去も未来も勝手に変わるの。

いずれにしても、お兄ちゃんはいつか不幸を選択するのを止めて、幸せを選択しなければならなかった。

そうしなければ、ユリさんと結婚したとしても別れることになっていた。もし、子供が生まれていたら、今よりもっと大変なことになっていた。だから、結婚の前に別れられたのは、ある意味幸いなことだったのよ。」

「あのな~。そう勝手に別れるって決め付けないでくれないかなぁ。オレもそこそこ傷付いてるんだからさあ。」と、僕は口をはさんだが、コトハの口は止まらない。

「お兄ちゃんは、今、罪悪感のケアレスウィスパーに耳を傾けるのを辞めて、幸せを選択すればいいの。そうすれば過去も未来も変わる。

お兄ちゃんがやることは、『今、幸せを選択する』こと。

『ケアレスウィスパーに耳を貸さない』と決心すること。

それだけなのよ。」

コトハは、僕が分かったような分からないような顔をしているのを見て補足した。

「もう少し丁寧に説明するね。

まず、素直な本当のお兄ちゃんの心の声を、お兄ちゃん自身がちゃんと聴くの。次に彼女や家族や友達に、正直な本当のお兄ちゃんを伝えるの。それが、幸せを選択するということ。

その素直な本当のお兄ちゃんを受け容れるかどうかは、その人たちの自由。

本当の気持ちを新しい彼女が受け容れるかどうかは、その新しい彼女が決めること。

でも、その新しい彼女の選択によって、お兄ちゃんの幸せが左右されるのではない。

本当のお兄ちゃんの気持ちを受け容れない彼女と付き合っても、どうせお兄ちゃんも彼女も幸せになれない。

とにかく、お兄ちゃんは周りの人に全否定されたとしても、本当のお兄ちゃんを自分にも周りの人にも伝えていく。

そうやって、『お兄ちゃんは、お兄ちゃんらしく生きる!』って覚悟を決めるの。

それが、お兄ちゃんが幸せを選択して生きるっていうこと。

それだけのことなの。」

セミも、コトハと同じく、力強く鳴いている。

ミーン、ミー、ミー、ミー…。

 

つづく

 

【お兄ちゃんの素晴らしさに気づかせてなるものか!】

コトハは、語気を強めて言う。

「お兄ちゃんは、確かに勉強もできない。仕事もできない。お金も稼げない。

でも、お兄ちゃんには、優しさが『ある』の。お兄ちゃんには純粋さが『ある』の。」

「褒めてるんだか、けなしてるんだか、分かんないんだけど…。」と、いじけるように応える僕。

「褒めてんのよ!コトちゃんも、そんなお兄ちゃんに何度も、助けられたわ!

コトちゃんが引きこもっている間、お兄ちゃんは、本当に優しかった!

お兄ちゃんはコトちゃんを一度も馬鹿にしなかった!

引きこもっているコトちゃんを、ただそのまま受け容れてくれた!

コトちゃんを信じてくれた!

お兄ちゃんはお父さんやお母さんに、こう言ってくれた。『まあ、コトちゃんもそういう時なんだろ。コトちゃんにも何か訳があるんだろう。コトちゃんがお父さんお母さんを大切にする気持ちに変わりはないんだから、大丈夫だろ。』って。」

「そんなの、別に普通だし。オレだって、よく凹んで引きこもってるし…。」と、僕はコトハをかばうように言った。

「まだお兄ちゃんは、そんなこと言ってる~!

罪悪感はお兄ちゃんに、自分の素晴らしさを気づかせないようにしてるの!

お兄ちゃんが、お兄ちゃんの素晴らしさに気づいたら、お兄ちゃんは幸せになってしまう!

だから、『お兄ちゃんの素晴らしさに気づかせてなるものか!』って、罪悪感は、必死に、お兄ちゃんにウソをついてる。

『お兄ちゃんには、価値がない。お兄ちゃんが素晴らしいわけがない。』って、お兄ちゃんの耳元で『コソコソコソコソ』囁き続けているのよ!」

「だから、その『コソコソコソコソ』はやめろっつうの。」と、僕はツッこんだ。

が、コトハは、僕の突っ込みに反応しない。相変わらず静かに力強く話を続ける。

「罪悪感は、そうやって、お兄ちゃんに不幸を選択させる。

そして、罪悪感はよく『完璧主義』を利用する。

罪悪感が、『お兄ちゃんは完璧じゃない』って囁くの。

『お兄ちゃんには完璧なやさしさが無い。お兄ちゃんには完璧な純粋さがない。だから、お兄ちゃんはダメなんだ。』って。

いくらお兄ちゃんの純粋さや優しさが、コトちゃんを救ったとしても、罪悪感が『お兄ちゃんの優しさや純粋さは完璧じゃない』って囁くの。

そうして、『お兄ちゃんは価値がない』っていうウソをお兄ちゃんに信じ込ませているの!」

と言い終ったところで、コトハが「ハッ」としたような表情をして言った。

「アイスコーヒー。もう一杯持ってくるね。」

また僕は、コトハに心の内を見透かされた。

僕が「ちょっと疲れた。一休みしたい。」と思ったからだ。

セミは、まだ、元気に鳴いている。

ミーン、ミー、ミー、ミー、ミー…。

 

つづく

 

【ケアレスウィスパー】

コトハが、言う。

「とにかくお兄ちゃんは、『ユリさんと一つ』という普通で当たり前の状態にいた。でもお兄ちゃんは、不幸を選択してその状態から離れてしまった。きっかけは、お兄ちゃんが会社をクビになったこと。」

僕は、「クビじゃねえし。自己都合退職だし…。」と、言い訳するかのようにブツブツ反論したが、相変わらずコトハは、静かに力強く話し続ける。

「ところで、お兄ちゃん。会社をクビになることと結婚。何か関係があるの?」

僕は、「コトハのやつ、またクビって言ったな。」と少し腹を立てながら、

「そりゃ、そうだろ!稼げなきゃ旅行も行けない。マイホームも持てない。車も買えない。外食もできない。そんなんで、結婚できるわけないだろ!」と言った。

コトハは、返す。「その、お兄ちゃんの、『行けない。』『住めない。』『買えない。』『できない。』『ない。ない。ない。ない。』っていうのが、お兄ちゃんの罪悪感なのよ!それは、本当のお兄ちゃんじゃないの!」

「また、コトハが難しいことを言い出したな。」と、僕は少し気が重くなった。

「罪悪感を例えて言うなら、ケアレスウィスパーよ。 妖怪ウォッチのウィスパーじゃないからね。」 と、コトハは僕を笑わせようとして言った。

僕は冷めた声で応じた。

「妖怪ウォッチじゃないくらいは、分かるけど…。 ワムの『ケアレスウィスパー』だろ?」

「そう。罪悪感はまさに、ケアレスウィスパー。 危険な囁(ささやき)なの。 罪悪感は、 お兄ちゃんの耳元で、『コソコソコソコソ』って囁くようにして言うの。

『お兄ちゃん。 あなたは、悪いことをした。 だから、幸せになっちゃいけないよ。』って。」

「何だか、気持ち悪いなあ。」と、僕が口を挟む。

「ごめん。ごめん。 でも実際に、罪悪感はお兄ちゃんの耳元で囁いている。そして、お兄ちゃんに不幸を選択させている。幸せを選択しようとしている本当のお兄ちゃんの邪魔をする。つまり、罪悪感が巧妙にお兄ちゃんを操って、お兄ちゃんに不幸を選択させているの。

特に罪悪感は、お兄ちゃんにウソを信じこませる…。」

「オレにウソを? 信じ込ませる? どういうこと?

オレをだますってこと?」と、僕はコトハの話をさえぎるように尋ねた。

すると、「ピンポン!ピンポン!ピンポーン!大正解!お兄ちゃん、頭、柔らかくなったね〜。コトちゃん基礎講座の卒業証書を授与してあげるわ!さっきの卒業証書没収は、取り消し〜!」と、コトハは僕をからかった。

そして、そのまま続けた。

「お兄ちゃん。そうなの!お兄ちゃんは、だまされてるの。お兄ちゃんは本当は『ある』のに、『ない。ない。ない。ない。』ってだまされてるの。まるで、罪悪感がお兄ちゃんに遠隔操作のセンサーを組み込んで、お兄ちゃんを好きなように遠隔操作してる感じなの。」

僕は、「オレが罪悪感に遠隔操作されている?そんな馬鹿な。」と、心の中でつぶやいた。

コトハはさらに続ける。

「そのお兄ちゃんをだましているウソには、大きく分けて二つある。その一つ目が?」と言って、コトハは少し間を空け、僕の目を見た。

「分かるわけねえし…。」と、僕は心の中でつぶやく。

コトハは、「僕の心の声を確かに聞きました。」と言わんばかりの表情をして言った。

「『お兄ちゃんは価値がない。』というウソよ。」

「オレに価値がない?

そうだな。

確かにオレには価値がない。」

と、僕はコトハの言葉に同意した。

「だから~!

それが、『お兄ちゃんがケアレスウィスパーのウソを信じてる』って言うことなの!お兄ちゃん、しっかりしなちゃい!」

コトハは、幼稚園児がママゴトで先生役を演じるかのようにふざけるように言い、僕の頭を軽く叩いた。

とりあえずコトハは、僕を励ましたいみたいだった。

セミたちも、ボクを励ますかのように元気に鳴いてくれている。

ミーン、ミー、ミー、ミー、ミー…。

 

 

つづく

 

【人は永遠に生き続ける。】

 

 

頭の中が真っ白になった僕は、コトハが目の前にいることを忘れ、なにやら一人で考えごとを始めた。

そう言われれば、今まで、「幸せになろう」なんて考えたことがなかったかもしれない…。

幸せを求めること自体、

はかない夢…、

手に入れられないもの…、

不可能なもの…、

そう思っていたのかもしれない…。

とりあえず、今、それなりにお金を稼いで…、

それなりに生活ができて…、

それなりに頑張って…、

友達と酒を飲んで…、

それで、十分じゃないか…、

そう思っていた。

というより、そう自分に言い聞かせてきた…。

もし、コトハに「それが幸せ?」って訊かれたら、「そう思うしかないだろ?それが、大人っていうもんだよ。」と答えるんだろうな、と、僕はいつの間にか、コトハの質問を先回りして考えるようになっていた。

もしかしたら、コトハの言う通り、僕は幸せになるという選択肢を捨て、不幸を選択して生きてきた、ということなのだろうか…。

僕は、なんだか一人で、そんな考えごとを始めていた。

そして、思わず言ってしまった。

「確かに、オレは幸せを選択しなかったのかもしれないな…。」と。

すると、突然、コトハの笑顔が目の前に現れた。

「だから~!。お兄ちゃん、ちょっと私の話に付き合ってよ!」

と、コトハがニコニコ笑っている。

コトハが目の前にいたことを忘れ、本音を漏らしてしまった僕は、恥ずかしさを覚え、「6歳も年下の妹に本音を言ってしまった…。」と、後悔した。

しかし、そんな僕の気持ちを察する様子もなく、コトハは話を続ける。

「まず、お兄ちゃんに分かってもらわないといけないことは…。

『人は永遠に生き続ける。』っていうことなの!」

「はぁ?」と、僕は、あっけに取られた。

そして、とっさに、

「コトハは、頭がおかしくなったのだろうか?

いや、きっと、変な宗教にハマってしまったに違いない。」と、思った。

と、同時に、本音を漏らした恥ずかしさを忘れ、冷静さを取り戻した。

「コトちゃん、何か変な宗教に入ったんだろう?

今まで、死ななかった人間は一人もいないだぜ。

コトちゃんは、何歳まで生きると思ってんだよ。

仮にコトちゃんが、永遠に生きるとしても、オレがあと100年以上生きることは、絶対にないんだぜ。」

しかし、コトハは落ち着いた口調で応える。

「確かに、お兄ちゃんの言っていることは間違いじゃない。でも、肉体の死は魂の死ではないの。

例えば…。

そこのヒマワリを見て。」

と、窓の外に見えるヒマワリを指差した。

庭には、50本くらいのヒマワリが、真っ青な夏空と白い入道雲を背景にして、乱雑だが力強く咲いている。

その時、セミたちが、「ミーン、ミー、ミー、ミー!」と、大きい声で鳴き始めた。

 

 

 

つづく