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幸せの方程式(32)

【 インディア ④ ガンジス 】

 

 

「あとは、僕の自由ということか。」

シャンカールの「やるかやらないかは、ユウが決めることだ。誰もユウを助けられない。誰もユウに干渉できない。ユウは完全に自由だ。同時に、ユウは全責任を負う。」という言葉が思い出される。

僕は、外に出て、ガンジス川へ向かった。

3年ぶりに再会したガンジスは、相も変わらず、大量の水をゆったり静かに淡々と流し続けている。

夜も昼も。

冬も夏も。

ガンジス川下流には、神様の化身とされるウシ・サルの糞尿や人間の死体などが流れて来るが、こちらの上流には、ただ美しく透明に澄んだ水だけが静かに淡々と流れている。

夜も昼も。

冬も夏も。

「人はヒマラヤで生まれガンジスに流されて、この世にやって来る。そして、この世の営みを終えると、またガンジスに戻って海へ流れて逝く。」と、インドの人たちは信じている。

訪れし命に歓喜を味わい。

去り逝く命に哀しみを味わう。

喜びと悲しみが同居しているのが、生命であり、人生だ。

死の悲しみが無い生もなく、

誕生の喜びの無い死もない。

人生もガンジスと同じ。

命を逝き来させ、喜びと哀しみを逝き来させるのが人生であり、その流れに乗ることが生きるということ。

喜びがあれば、哀しみがあり、

昼があれば、夜があり、

夏があれば、冬があり、

不幸があれば、幸せがある。

そして、異質なものが、一つになると、新しい光が生まれる。

ただ、それだけのこと…。

 

 

 

 

 

つづく

 

 


 

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幸せの方程式(9)

【 生=死② 夜の夢 】

 

「ユウは、夜、寝ている時に、夢を見たことがあるだろ?」

「その夢は、誰が作ったのかね?」

「ミーが作った夢を、ユウが見たわけではないことくらいは分かるね。」

「では、ユウのマミーが作った夢を、ユウが見たのかね?」

「それとも、ユウのパピーが作った夢を、ユウが見たというのかね?」

「ユウは、なぜ、こんな基本的な質問に、すぐに自信を持って、答えられないんだ?」

「だから、『ユウは学校に行ったのか?ユウは学校で何を勉強したんだ?』と、さっき聞いたのだよ。」

シャンカールは、無表情なまま、ゆっくりと、静かに、僕の心との対話を続けている。

「ユウは、『自分が作った夢を自分で見ている』という基本的な事実すら、学校で教わらなかったというのだね。」

「日本という国は、いったい何を教育しているのだろうかねえ…。」

シャンカールは、しばらく、口を閉ざした。

もちろん、僕も、口を開けない。

僕の心には、何も思い浮かばないからだ。

45秒間の沈黙を破り、シャンカールは、ため息をつくようにフーッと息を吐いてから、また、静かに僕の心との対話を再開した。

相変わらず、無表情のままだ。

 

「寝ている時のユウと、目覚めている時のユウとは、別人なのかね?」

「寝ている時のユウと、目覚めている時のユウは別人でなく、同じ人物なのだとしたら、

目覚めている時のユウも、寝ている時のユウと同様、

『自分で作った現実を、自分で見ている』という真実に、

ユウは、ナゼ気づけないのだ?」

 

 

つづく

 

 

 


 

 

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