本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(29)
【新しい彼氏と幸せになってくれよな】 「ユリちゃ…?!」 僕の心臓が、また、止まった。 「ユリちゃん、ロトール辞めたって。 コトちゃんが…。」 「そんなこと、どうでもいいわ。ビールも頼む?」と無愛想なままユリが尋ねる。 僕は何も言葉が出てこず、ただ首を横に振り「ビールはいらない」と応えた。   […]
【新しい彼氏と幸せになってくれよな】 「ユリちゃ…?!」 僕の心臓が、また、止まった。 「ユリちゃん、ロトール辞めたって。 コトちゃんが…。」 「そんなこと、どうでもいいわ。ビールも頼む?」と無愛想なままユリが尋ねる。 僕は何も言葉が出てこず、ただ首を横に振り「ビールはいらない」と応えた。   […]
【1円玉より小さい何か】 「罪悪感があるからよ。」と、コトハは言った。 僕はまた、いつの間にか、目の前にコトハがいることを忘れていた。そして、そのコトハの言葉に、僕は心の内を見透かされているような気がして大きく動揺した。 胸の呼吸か心臓の鼓動かは分からないが、胸の奥が、やたらドキドキしている。ただ僕は無言のまま、コトハの目を見つめている。 コトハは静かに続けた。 「お兄ちゃん。コトち […]
【あたり前で普通のこと】 ミーン、ミー、ミー、ミー…。 セミの声が、やけにうるさい。 僕の頭は混乱している。 「僕が?コトハを?『思い通りに』?動かしている?どういうこと?」 茫然としている僕に、コトハは穏やかな声でゆっくり続けた。 「逆に、コトちゃんがお兄ちゃんの体を動かしたこともあったよね?」 「えっ?そんなことあった?オレが、コトちゃんに動かされたってこと?」 「 […]