続・幸せの方程式(25)
【+-ゼロ=無=光 ⑤ 火花と炎】
「では最後に、ワクワクとシンクロニシティの実験をしよう。」と言って、シャンカールが小さな二つの石を僕の目の前に置いた。
「火打ち石だ。叩いてみなさい。」
僕は「カチッ、カチッ。」と石と石とを叩いてみた。
「ほら、火花が散っただろ?」
「えっ?分からないですよ。」
「ユウは無になっていないから火花が見えない。けれど、無になれば火花が見えるようになる。」とシャンカールが言うと、急に辺りが暗くなり始めた。
夕立ちだろうか?スコールだろうか?バケツをひっくり返したような雨がザーザーと大きな音を立てて降り始めた。部屋は停電したかのように暗い。
「もう一度、やってみなさい。」
「カチッ、カチッ。」
確かに火花が出ている。
「二つの物質が一つになった時、ユウは無になる。その時、同時にユウは、火花のような『ワクワク』を感じるようになる。
では、この紙を石と石の間に挟んでもう一度やってみなさい。」
シャンカールは、油のようなものがついた少し粘着質のある紙を僕に手渡した。
僕は、その紙を石と石との間に挟んで、もう一度、火打石を鳴らした。
「カチッ、カチッ。」
すると「ボワッ!」と紙が燃えた。
「火花が『ワクワク』で、紙は現実、炎は『シンクロニシティ』だ。
つまり、もし、ユウがワクワクしていると、『ワクワクにまつわる奇蹟的で偶然とは思えない運命的な出逢い』すなわちシンクロ二シティを、現実の中で体験するようになる。
シンクロニシティに出逢った時、ユウはジェットコースターに乗る時のようなちょっと怖い胸のドキドキ感を体験する、しかし、人間は運命的な出逢いを感じワクワクしていると、怖くてもその運命に乗らずにいられなくなる。
別の表現をするなら、ユウがワクワクしてシンクロニシティを感じ、動かずにいられなくなるということは、ユウは頑張ってやる気を起こしたり、努力したりする必要はないということ。すなわち、『ただ』炎が紙に着火した時のドキドキ感を楽しめばいいということだ。
その時ユウは、
ただ、幸せを感じ、
ただ、美しさに感動し、
ただ、気持ち良い、と言うだろう。
ユウの国では、無料のことを『ただ』というだろう?」
「はい。」
「まさに、そのただ(無料)で幸せを感じることが、ユウが手に入れたいと言っていた本当の幸せだ。
つまり、無×ワクワク×シンクロニシティによる本当の幸せとは、無料(ただ)でもらえる幸せであり、無償、無条件、無限の愛による幸せだ。」
「無から来る本当の幸せは、無料、無償、無条件、無限の幸せ…???
インド人のオヤジも、オヤジギャグが好きということなのだろうか…???」
と僕は心の中で思った。