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《 前回までのあらすじ 》
(夫と2人の子どもを持つ母親)花子は、スーパーでパートをしている。
そこで、7つ年下の太郎に出会う。
花子は、自信をなくしていた太郎を、持ち前の明るさとおかずの差し入れで元気づける。
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2人きりで話さないで
太郎にギョウザの差し入れをしてから1週間後、花子は、昨晩のおかずだった肉じゃがをタッパーに詰めてスーパーに出勤し、更衣室で制服に着替えてから太郎を探した。
そして、70mほど先にいる太郎を見つけたが、太郎は女性社員「梅子」と話をしている。
2人が真面目な仕事の話をしていることは間違いなさそうだったし、もちろんイチャついているわけでもなかった。
が、花子の心には、今までにないネガティブな感情が湧いた。
「2人きりで話さないで」
「仲良くしないで」
という、寂しいような、悔しいような、暗い気持ちだった。
嫉妬の自覚
花子は、そんな妬(ねた)む気持ちがイヤになり、太郎に肉じゃがを渡すことをあきらめ、更衣室へと引き返した。
そして、タッパーを冷蔵庫にしまいながら、ブツブツと独り言を言った。
「私、なんてこと考えてるんだろう?
別に、普通に、太郎くんに差し入れすれば良かったんじゃないの?」
花子は、自分のココロに湧いた嫉妬心を振り払いたくなり、目を閉じて、首をブルブルと横に振った。
その後、花子は太郎に会うことなく、日常の業務をこなした。
たまたま、その日は、スーパーの特売日の谷間だったため、客の入りも少なく、仕事は定時前に、ほとんど終わっていた。
そして、ほぼ全員が定時で帰ることになった。
胸がときめく
花子が帰り支度を済ませ、スーパーを出ると、太郎が100mほど前を歩いている。
花子は、
「帰りに、太郎くんに偶然会うのも、何かの縁かな?
神様が、肉じゃがを太郎くんに渡せって言ってるんじゃないかな!?」
と、偶然、太郎と出会えたことに、少し胸をときめかせて、太郎の元へ駆け寄った。
「太郎くん!おつかれ!お口に合うかわからないけど。差し入れどうぞ!」
と、いつものゼロ円スマイルと明るい声で、肉じゃが入りのタッパーが入った巾着袋を太郎に渡した。
「花子さん、いつもありがとうございます!
おかげで、最近、調子良いっすよ。」
と太郎が素直に喜んでくれたので、花子は嬉しかった。
不注意なお誘い
花子は、「良かった。そう言ってもらえて嬉しいわ」と返し、たわいない会話を続けた。
「今日は、仕事ラクだったね。たまには、こういう日も良いね?」
しかし、花子は、太郎に喜んでもらえたことに少し浮かれてしまい、余計な提案までしてしまう。
「今日、時間が余っちゃったから、お茶でもしていかない?
あそこのカフェ、タピオカ入りのほうじ茶ラテが美味しいんだって…」
花子は、
「しまった!
私、なんて軽率なことを言っちゃったんだろう?」
と、心の中で、軽率にお茶を誘ってしまったことに恥ずかしさを覚え、ドキドキと緊張し始めた。
そして「今の言葉、早く撤回しなきゃ」と思うと、体も熱くなってきた。
が、
「良いっすね。行きましょ、行きましょ!
ボクもあの店、気になってたんすよ。」
と、太郎が意外にあっさり承諾してしまったので、不注意に誘ってしまったことを撤回しようにも撤回できなくなり、
花子は、ドキドキした気持ちのまま、太郎とカフェへと向かう。
スリル、ハラハラ、ドキドキ
花子の心は、ドキドキ、ハラハラと、胸が高まっている。
「こんな気持ちを感じるのは、何年振りだろう?」
と、太郎に恋愛感情を抱いている事実を、いくら首を振っても否定できなくなっている。
さらに、「スリル」「ハラハラ」「ドキドキ」という「リスク」が、花子の恋愛感情の炎(火)に油を注ぎ、花子は泥沼から抜け出せなくなっていく。
また次回に続けますね。
よかったら、引き続きお付き合いくださいませ。