不倫とユング心理学
「不倫欲求」はシャドウ?
多くの人は、不倫衝動を抱いた時、
それを否定し、抑え込もうとするかもしれません。
そして「こんなことを考える自分は汚れている」と思い、
そこから目を背けるのかもしれません。
しかし、
ユングは、「不倫欲求を罪だとか悪だと」考え、そこから目を背けたのではなく、
それを「シャドウ」と捉えたのではないだろうか?
と思ったりしております。

シャドウとは本当の自分
簡単に言うと、シャドウとは影(シャドウ)に隠されている「本当の自分」。
人間関係において、表に出しても問題が起きない「本当の自分」と
表に出すと問題が起こってしまう「本当の自分」が存在する。
その2つの「本当の自分」を表に出してしまうと、
問題が起こり、社会的、経済的デメリットを被(こうむ)ってしまう。
だから、「本当の自分」の一面は影(シャドウ)に隠しながら、人は生きている…。

在ることを否定しないで認知する
もちろん、不倫欲求は道徳的には、許されないことなのでしょう。
でも、その欲求が現に心の中に在ることも事実。
そして、その欲求を抑えれば抑えるほどに、
シャドウは増幅され、
いつしか制御不能な形で噴き出してしまう。
なぜなら、
人は本当の自分を表現したいし、
本当の自分を認めてもらいたいと
本質的根本的に望む存在だから…。
なので、
「不倫」という外見的な側面のみをどうこうしようとするのではなく、
「自分の中に存在する本当の自分」を認めることが不倫の問題を解決するために必要なこと…。

不倫欲求に隠されたメッセージ
今までも、不倫についてのご相談を多く聞いてきましたが、
不倫欲求は、ただの性的衝動ではないように感じております。
そこには、
・心からの愛情を感じていない
・自己肯定感を持てない
・孤独
・不自由
・抑圧など
深い心の叫びが隠されているのではないかと…。

現実の中で抑圧された自分
もしかしたら、
• 良い夫、良い妻になることを頑張りすぎて「本当の自分」を見失っている
• 子どもの頃に、十分な愛情を受けられなかった
• 自分の価値を他人目線で確認しようとしている
• 安全で安定した生活に飽きてしまい、冒険や刺激を求めている
• 本来の自分ではない「いい人」「正しい人」を演じ過ぎている
などの生活習慣が原因になっているのかもしれません。
つまり、
不倫欲求とは、「現実の中で抑圧された自分」を
“別の形でその存在を表現する”行為なのかもしれません…

統合とは
また、ユングの代名詞と言えば「統合」ですが、
ユングも、
不倫欲求を否定し抑圧して、罪を抑え込むというよりは、
「本当の自分」を知って認めて(認知)、それを解放することを
説いているような気がします。

例えば、
① 欲求を“否定”しないで、「正直に見つめる」
「こんなことを考えてはいけない」と自分を責めるのをやめる。
その代わりに、自分の心の中で何が起きているのかを、静かに観察する。
不倫したいという気持ちを、「ああ、自分の中にこういう欲求があるんだな」と受け入れる。
② 欲求の奥にある「本当の願い」を探る
不倫したいという気持ちの奥に、何があるのだろうか?
・自分はもっと大切にされたい?
・自由に愛したい?
・誰かに必要とされたい?
・人生に刺激が欲しいの?
そうした率直な心の声は、
「不倫欲求の裏側にある純粋な欲望」なのかもしれません。
③ 欲求を“創造的エネルギー”に変換する
不倫欲求に込められたエネルギーは非常に強く、そのまま行動すれば破壊的な結果になりかねません。
しかし、それを「創造」に転換することで、それが大きな成長になるのかもしれません。
たとえば、
• 嫌われても良いから、パートナーと素直に向き合う。
• 抑圧されていた表現欲求を、芸術や文章、趣味などに注ぐ。
• 新しい人間関係を、新しい場所で見つける。
等々…

