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自分が好きになる

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(9)

【本当にそう?】     「オレはコトちゃんの体を動かせない。だから、コトちゃんとオレは一つではなく二つだろ?」と自信を持って言った僕に、それ以上の自信を持ってコトハが応えた。 「本当にそう? さっき、お兄ちゃん、アイスコーヒー飲んだよね?そのアイスコーヒーって、誰が作ったんだっけ?」 「はあ?コーヒーを作ったのはコトちゃんだよ。あっ、お礼言い忘れてたな。ごめん、ごめん。ありが […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(8)

  【ぜーんぶ一つに繋がっている。】   コトハは、『一つ』という言葉をキーワードにしたいのかもしれない…。 僕は、頭を柔らかくして、そんなことを考え始めていた。 すると、コトハが、「それじゃあ、もう一つ質問!頭を柔らか~くして、考えてよ~。」と、僕の心を見透かすかのごとく、話を続けた。 「地球は、いくつあるでしょうか?」 「そりゃあ、一つだろ。」と僕は言いかけて、止めた。 コ […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(7)

【お兄ちゃんのカラダはいくつある?】     「お兄ちゃんには、もう一つ、基礎知識を学んでもらわなきゃならないのよね~。」 アイスコーヒーを、僕に手渡しながら、コトハが言う。 「お兄ちゃんもコトちゃんも、時間軸では、永遠だということは、分かったわよね?」 僕は、「まあ、分かったことにするかな。」と、ストローでアイスコーヒーをかき回しながら、適当な返事をした。 「今度は、空間も、 […]

本当の自分に出会う物語 【 コトちゃんはひきこもり 】(5)

【もう一つの質問】     落ち込んでいる僕を励ましたいのか、それとも、僕の気持ちを全く察していないのかは分からないが、コトハは明るい声を出して言った。 「それじゃあ、お兄ちゃん、もう一つ質問ね! 頭を柔らか~くして。想像してみてね~。」 コトハは、また、ニヤニヤしている。   「じゃあ、行くよ~。 お兄ちゃんは、今まで、何年生きて来たのでしょうか?」 「何年って、2 […]

本当の自分に出会う物語 【 コトちゃんはひきこもり 】(4)

【そりゃー、嬉しいに決まってんだろっ!】   僕が小学生、コトハが幼稚園生の時、コトハが幼稚園でヒマワリの種をもらって来た。 「お兄ちゃん、タネまいて!」と幼稚園児のコトハに頼まれた僕は、庭の適当な場所にヒマワリの種を蒔いた。 あれから、もう10年。 何の手入れもしていないが、毎年、夏になるとヒマワリの花が咲き乱れる。 コトハは、静かに話を続けた。 「ヒマワリは、秋になると枯れて死んでし […]