続・幸せの方程式(7) 【 有=無 ⑤ パラシュート 】
続・幸せの方程式(7) 【 有=無 ⑤ パラシュート 】 富士山の斜面に沿って、上へ上へと浮上した僕のカラダは、押しつぶされそうになった。 その時、同時に、高度上昇もストップした。 黒のシルクハットを頭にかぶり、黒のステッキを右手で軽く持っているチャーリー=チャップリンのような手品師が、映画のスクリーンに映し出されているかと思ったら、突然、そのスクリーンを切り裂き、生身 […]
続・幸せの方程式(7) 【 有=無 ⑤ パラシュート 】 富士山の斜面に沿って、上へ上へと浮上した僕のカラダは、押しつぶされそうになった。 その時、同時に、高度上昇もストップした。 黒のシルクハットを頭にかぶり、黒のステッキを右手で軽く持っているチャーリー=チャップリンのような手品師が、映画のスクリーンに映し出されているかと思ったら、突然、そのスクリーンを切り裂き、生身 […]
続・幸せの方程式(6) 【 有=無 ④ 押し潰されそう 】 僕は、偏西風らしき強風帯に押し流され時速800kmで飛び出した。が、ジャンボジェット機が地上へ着陸する前に少しずつ速度と高度を下げるように、僕の体は、時速を800kmから300kmへ、高度を1万mから200mへと変化させていた。 その時、僕の目の前に現れたのは、ブルーハワイシロップがタップリかけられたカキ氷に、白い練乳をトッ […]
続・幸せの方程式(5) 【 有=無 ③ 強風帯 】 僕は、シマウマの群れとチータが作り出した低気圧の中心へ、全自動ドラム洗濯機の中でガランガランと洗濯されている感覚と、大型サイクロン掃除機のハイパワー吸引モードで吸い込まれている感覚を、同時に味わいながら吸い込まれていった。 しかし、僕がその中心に近づく頃には、低気圧はその勢力を失っていた。 その代わり、サバンナの熱く乾燥した空気と、 […]
続・幸せの方程式(3) 第一章 有イコール無 【 有=無 ① 海 】 僕の目の前には、真っ青な光景が広がっている。 青というよりは、青色に黒を混ぜたような、濃厚な藍色の液体の中に僕はいる。 僕は、上下、前後、左右に、ゆったりと穏やかに揺れている。 ゆらりゆらりと揺れる母親の背中におぶさりながら、「ね〜んね〜ん。ころ […]
続・幸せの方程式(2) 【 プロローグ ② 修学旅行から35年 】 僕のココロは激しく叫んでいた。 全身にチカラが入り、緊張している。 その力みと緊張感はカラダの許容範囲を超え、僕の両肩と両腕、そして握り拳とを、ワナワナと小刻みに震わせていた。 「麻里奈を許すなんて、絶対にできない。 オレと同じ境遇で […]