続・幸せの方程式(35)【エピローグ】
僕は公園の白いベンチに腰掛けている。
暑い夏が終わり、涼しく爽やかな風が公園の端から端まで流れている。
緑色の草が生い茂る公園の中では、白や桃色のコスモスたちが夏とのお別れに手を振るかのごとくユラユラユラユラと揺れている。
遠くには、内臓ホルモン、脂肪、筋肉を猫に食べられて、骨だけになってしまったサンマのような原爆ドームが見える。
僕は不幸な運命を受け入れた。
苦しみ、悲しみ、恨み、怒り、不幸な感情と不幸な運命を味わい尽くして吞み込み、本当の幸せをただ無料で手に入れた。
僕の隣にはストレートパーマをかけたようなロングヘア、半ズボンジーンズに白のティーシャツの女性がいる。
彼女も、不幸な運命を受け入れた。
苦しみ、悲しみ、恨み、怒り、不幸な感情と不幸な運命を味わい尽くして呑み込み、本当の幸せをただ無料で手に入れた。
僕と彼女はアコースティックギターを弾きながら一緒に歌っている。
僕の目の前には、数百人の人たちが、ビニールシートを敷いて、座っている。
目の前の彼らも、不幸な運命を受け入れた。
苦しみ、悲しみ、恨み、怒り、不幸な感情と不幸な運命を味わい尽くして呑み込み、本当の幸せをただ無料で手に入れた。
僕たちは、みんなで歌っている。
ついに、戦争がなくなった!
これから、幸せな日が続く!
僕たちは祝っている!
本当のクリスマスを!
おしまい
最後まで、お読みくださり、ありがとうございました。