本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(24)
【コトハの影響を受けた僕は】 「アイスコーヒー。もう一杯持ってくるね。」と言ったきり、コトハはなかなか戻ってこなかった。が、僕にとってそれは好ましい状況だった。とにかく、少し一人で考えたかった。 コトハの影響を受けた僕は、「たぶん、僕が一人で考えたいと思っているから、コトハは戻ってこないのだろう。」と考えるようになっていた。 僕はユリと一ヶ月 […]
【コトハの影響を受けた僕は】 「アイスコーヒー。もう一杯持ってくるね。」と言ったきり、コトハはなかなか戻ってこなかった。が、僕にとってそれは好ましい状況だった。とにかく、少し一人で考えたかった。 コトハの影響を受けた僕は、「たぶん、僕が一人で考えたいと思っているから、コトハは戻ってこないのだろう。」と考えるようになっていた。 僕はユリと一ヶ月 […]
【1ヶ月前の今日】 僕は大学3年の時に軽音サークルを辞めた。 大学論文とアルバイト、就職活動が忙しくなったからだ。もちろん一番の理由は、ユリが短大を卒業し軽音サークルを辞めたからだった。 ユリは短大で、保育士と幼稚園教諭の資格をとり、自宅でピアノ教室を開いた。そして、「ピアノ教室の生徒がある程度集まるまで。」という条件で、保育園の手伝いをしたり、近所の「ロトール」という […]
【お兄ちゃんの素晴らしさに気づかせてなるものか!】 コトハは、語気を強めて言う。 「お兄ちゃんは、確かに勉強もできない。仕事もできない。お金も稼げない。 でも、お兄ちゃんには、優しさが『ある』の。お兄ちゃんには純粋さが『ある』の。」 「褒めてるんだか、けなしてるんだか、分かんないんだけど…。」と、いじけるように応える僕。 「褒めてんのよ!コトちゃんも、そんなお兄ちゃんに何度も、助けら […]
【ケアレスウィスパー】 コトハが、言う。 「とにかくお兄ちゃんは、『ユリさんと一つ』という普通で当たり前の状態にいた。でもお兄ちゃんは、不幸を選択してその状態から離れてしまった。きっかけは、お兄ちゃんが会社をクビになったこと。」 僕は、「クビじゃねえし。自己都合退職だし…。」と、言い訳するかのようにブツブツ反論したが、相変わらずコトハは、静かに力強く話し続ける。 「とこ […]
【処刑された人の歌】 「お兄ちゃんの好きな、ジョンレノンもそうよね。ジョンレノンは、なぜ、殺されなきゃならなかったの?」 「確かに…。もしジョンが今もこの世に生きてくれていたら、世界はもっと平和になっていただろうに。本当に残念な人を世界は失ってしまった。」と僕は想像し、ジョンの死を悼んだ。 コトハは静かに続ける。 「そういう意味では、ユリさんにも、共通点があるの。」 「ユリちゃんにも […]