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本当の自分

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(14)

【ひさかたぶりの兄妹げんか】     コトハは、声のトーンを落とし真顔で言う。 怒っているようだ。 「だから、み~んな一つなの!お兄ちゃん、自分で言ったのよ!ヒマワリの種は一つ。宇宙も一つ。お兄ちゃんも一つ。コトちゃんとお兄ちゃんも一つ。 そして、そんなの当たり前っつうか普通のことじゃんって、お兄ちゃんが言ったのよ! だから、み~んな一つっていうことが当たり前で普通なの! こん […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(12)

【1円玉より小さい何か】   「罪悪感があるからよ。」と、コトハは言った。 僕はまた、いつの間にか、目の前にコトハがいることを忘れていた。そして、そのコトハの言葉に、僕は心の内を見透かされているような気がして大きく動揺した。 胸の呼吸か心臓の鼓動かは分からないが、胸の奥が、やたらドキドキしている。ただ僕は無言のまま、コトハの目を見つめている。 コトハは静かに続けた。 「お兄ちゃん。コトち […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(11)

【罪悪感があるからよ。】 しばらくしてから、また、コトハはゆっくり「基礎知識の講義」を始めた。 「実際、お兄ちゃんの体の中でも、その当たり前で、普通のこと、つまり、生かし合いと助け合いが、毎日、行われているの。 例えばお兄ちゃんが御飯を食べると、お兄ちゃんの頭や手や足が、胃袋に献血するの。 お兄ちゃん、知ってた?お兄ちゃんの頭や手や足が、『胃袋さん、消化、ご苦労様!これっぽっちしかないけど…。ボク […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(10)

【あたり前で普通のこと】     ミーン、ミー、ミー、ミー…。 セミの声が、やけにうるさい。 僕の頭は混乱している。 「僕が?コトハを?『思い通りに』?動かしている?どういうこと?」 茫然としている僕に、コトハは穏やかな声でゆっくり続けた。 「逆に、コトちゃんがお兄ちゃんの体を動かしたこともあったよね?」 「えっ?そんなことあった?オレが、コトちゃんに動かされたってこと?」 「 […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(9)

【本当にそう?】     「オレはコトちゃんの体を動かせない。だから、コトちゃんとオレは一つではなく二つだろ?」と自信を持って言った僕に、それ以上の自信を持ってコトハが応えた。 「本当にそう? さっき、お兄ちゃん、アイスコーヒー飲んだよね?そのアイスコーヒーって、誰が作ったんだっけ?」 「はあ?コーヒーを作ったのはコトちゃんだよ。あっ、お礼言い忘れてたな。ごめん、ごめん。ありが […]