本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(11)
【罪悪感があるからよ。】 しばらくしてから、また、コトハはゆっくり「基礎知識の講義」を始めた。 「実際、お兄ちゃんの体の中でも、その当たり前で、普通のこと、つまり、生かし合いと助け合いが、毎日、行われているの。 例えばお兄ちゃんが御飯を食べると、お兄ちゃんの頭や手や足が、胃袋に献血するの。 お兄ちゃん、知ってた?お兄ちゃんの頭や手や足が、『胃袋さん、消化、ご苦労様!これっぽっちしかないけど…。ボク […]
【罪悪感があるからよ。】 しばらくしてから、また、コトハはゆっくり「基礎知識の講義」を始めた。 「実際、お兄ちゃんの体の中でも、その当たり前で、普通のこと、つまり、生かし合いと助け合いが、毎日、行われているの。 例えばお兄ちゃんが御飯を食べると、お兄ちゃんの頭や手や足が、胃袋に献血するの。 お兄ちゃん、知ってた?お兄ちゃんの頭や手や足が、『胃袋さん、消化、ご苦労様!これっぽっちしかないけど…。ボク […]
【あたり前で普通のこと】 ミーン、ミー、ミー、ミー…。 セミの声が、やけにうるさい。 僕の頭は混乱している。 「僕が?コトハを?『思い通りに』?動かしている?どういうこと?」 茫然としている僕に、コトハは穏やかな声でゆっくり続けた。 「逆に、コトちゃんがお兄ちゃんの体を動かしたこともあったよね?」 「えっ?そんなことあった?オレが、コトちゃんに動かされたってこと?」 「 […]
【ぜーんぶ一つに繋がっている。】 コトハは、『一つ』という言葉をキーワードにしたいのかもしれない…。 僕は、頭を柔らかくして、そんなことを考え始めていた。 すると、コトハが、「それじゃあ、もう一つ質問!頭を柔らか~くして、考えてよ~。」と、僕の心を見透かすかのごとく、話を続けた。 「地球は、いくつあるでしょうか?」 「そりゃあ、一つだろ。」と僕は言いかけて、止めた。 コ […]
【お兄ちゃんのカラダはいくつある?】 「お兄ちゃんには、もう一つ、基礎知識を学んでもらわなきゃならないのよね~。」 アイスコーヒーを、僕に手渡しながら、コトハが言う。 「お兄ちゃんもコトちゃんも、時間軸では、永遠だということは、分かったわよね?」 僕は、「まあ、分かったことにするかな。」と、ストローでアイスコーヒーをかき回しながら、適当な返事をした。 「今度は、空間も、 […]
【もう一つの質問】 落ち込んでいる僕を励ましたいのか、それとも、僕の気持ちを全く察していないのかは分からないが、コトハは明るい声を出して言った。 「それじゃあ、お兄ちゃん、もう一つ質問ね! 頭を柔らか~くして。想像してみてね~。」 コトハは、また、ニヤニヤしている。 「じゃあ、行くよ~。 お兄ちゃんは、今まで、何年生きて来たのでしょうか?」 「何年って、2 […]