続・幸せの方程式(3)【 有=無 ① 海 】
続・幸せの方程式(3) 第一章 有イコール無 【 有=無 ① 海 】 僕の目の前には、真っ青な光景が広がっている。 青というよりは、青色に黒を混ぜたような、濃厚な藍色の液体の中に僕はいる。 僕は、上下、前後、左右に、ゆったりと穏やかに揺れている。 ゆらりゆらりと揺れる母親の背中におぶさりながら、「ね〜んね〜ん。ころ […]
続・幸せの方程式(3) 第一章 有イコール無 【 有=無 ① 海 】 僕の目の前には、真っ青な光景が広がっている。 青というよりは、青色に黒を混ぜたような、濃厚な藍色の液体の中に僕はいる。 僕は、上下、前後、左右に、ゆったりと穏やかに揺れている。 ゆらりゆらりと揺れる母親の背中におぶさりながら、「ね〜んね〜ん。ころ […]
続・幸せの方程式(2) 【 プロローグ ② 修学旅行から35年 】 僕のココロは激しく叫んでいた。 全身にチカラが入り、緊張している。 その力みと緊張感はカラダの許容範囲を超え、僕の両肩と両腕、そして握り拳とを、ワナワナと小刻みに震わせていた。 「麻里奈を許すなんて、絶対にできない。 オレと同じ境遇で […]
続・幸せの方程式(1) 【 プロローグ ① 初めての修学旅行 】 はじめに、質問です。 あなたは小学校の時、修学旅行でどこに行きましたか? もしかして、東京ディズニーランドでしょうか? ちなみに、僕の修学旅行はヒロシマでした。 平和記念公園の原爆ドーム。 原爆資料館に入り、 […]
続・幸せの方程式(4) 【 有=無 ② サバンナ 】 海から離脱し、フワリフワリと宙に浮いた僕のカラダは、海の中にいた時の1万倍、いや、一億倍くらいの速さで動くようになった。 僕は、もう、すでに、海の上にはいない。 黄土色がかった白い砂ぼこりが目の前で巻き上がっている。 ダダッダダッという大きな地響きを鳴らしながら、数十頭のシマウマの群れが、走り去っていく。 そのシマ […]
【新しい彼氏と幸せになってくれよな】 「ユリちゃ…?!」 僕の心臓が、また、止まった。 「ユリちゃん、ロトール辞めたって。 コトちゃんが…。」 「そんなこと、どうでもいいわ。ビールも頼む?」と無愛想なままユリが尋ねる。 僕は何も言葉が出てこず、ただ首を横に振り「ビールはいらない」と応えた。   […]