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自分が好きになる

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(28)

【声がちがう】 「僕に、愛があった…。僕に、価値があった…。 コトハの言う通りなのかもしれない…。」 僕の体からは、全てのチカラが抜けていた。 「そろそろ準備してロトールに行かなきゃ。」 そう思いながらも、僕の頭は空っぽになっている。放心状態になっている。体もフラフラしている。 僕はノソノソと浴室に入り、コーヒーのついたティーシャツと半ズボンを脱ぎシャワーを浴びた。 しかし、立っているのも辛く、た […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(27)

【おまえの兄ちゃんヨダレこぼしてたな】 「お兄ちゃんは、無意識に、普通に当たり前に、ユリさんを自殺から救っていた。お兄ちゃんは、そういう愛情をユリさんに注いで生きて来たの!」とコトハは、言った。 僕にはよく理解できなかったが、 コトハが僕のために本気で一生懸命話してくれていることだけは伝わってきた。 そして単純に、そのことが嬉しかった。 コトハは一呼吸置いてから、静かに言った。 「そろそろコトちゃ […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(26)

  【もう一つのウソ】     「じゃあ、本当にこれで最後ね。これが理解できたら、コトちゃん基礎講座の卒業証書を授与いたしま~す。コトちゃんも、そろそろバイトに行かなきゃならない時間だからね~。」とコトハはまた、ふざけて言う。 「バイト?」 「うん、ちょっと前から始めたの。」 「ふーん。」と僕が頷き終わる前に、コトハがまた話し始めた。 「さっき、ケアレスウィスパーはお […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(25)

【それだけのこと】     しばらくして、コトハが2杯目のアイスコーヒーを持ってきた。というより、僕がアイスコーヒーを飲みたいと思ったとおりにコトハが動いて、アイスコーヒーを持ってきた。 コトハは、相変わらず静かだが力強い言葉で話す。 「お兄ちゃん、自分を責めないでね。今回の経験はお兄ちゃんの中の罪悪感を知るためには、とってもいいことだったの。コトちゃん、最初にお兄ちゃんは永遠 […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(24)

【コトハの影響を受けた僕は】     「アイスコーヒー。もう一杯持ってくるね。」と言ったきり、コトハはなかなか戻ってこなかった。が、僕にとってそれは好ましい状況だった。とにかく、少し一人で考えたかった。   コトハの影響を受けた僕は、「たぶん、僕が一人で考えたいと思っているから、コトハは戻ってこないのだろう。」と考えるようになっていた。   僕はユリと一ヶ月 […]