本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(16)
【中学時代】 僕とユリとは、中学校でも同じ部活に入った。 小学時代の暗黙のルールが、僕たちから恋愛を仲間はずれにしたように、暗黙のルールが、僕とユリとを吹奏楽部に押し流した。 特に二人で相談した訳でも、約束した訳でもなかった。でも、二人が吹奏楽部に入ったことを確認し合った時、「やっぱり。」とお互いに安心した。僕たちは、恋愛を仲間はずれにしながらも、吹奏楽部に入ることでお […]
【中学時代】 僕とユリとは、中学校でも同じ部活に入った。 小学時代の暗黙のルールが、僕たちから恋愛を仲間はずれにしたように、暗黙のルールが、僕とユリとを吹奏楽部に押し流した。 特に二人で相談した訳でも、約束した訳でもなかった。でも、二人が吹奏楽部に入ったことを確認し合った時、「やっぱり。」とお互いに安心した。僕たちは、恋愛を仲間はずれにしながらも、吹奏楽部に入ることでお […]
【小学時代】 ユリとは幼馴染(おさななじみ)で、小学一年の時、同じクラスになった。 その頃から僕とユリとは普通に仲が良かった。 お互い音楽が好きで小学4年の時、二人は音楽クラブに入った。 僕はパーカッション、ユリはオルガンや鍵盤ハーモニカの担当だった。 演奏を練習する傍ら、休憩時間や練習終了後に、僕はユリから音符の […]
【ひさかたぶりの兄妹げんか】 コトハは、声のトーンを落とし真顔で言う。 怒っているようだ。 「だから、み~んな一つなの!お兄ちゃん、自分で言ったのよ!ヒマワリの種は一つ。宇宙も一つ。お兄ちゃんも一つ。コトちゃんとお兄ちゃんも一つ。 そして、そんなの当たり前っつうか普通のことじゃんって、お兄ちゃんが言ったのよ! だから、み~んな一つっていうことが当たり前で普通なの! こん […]
【1円玉より小さい何か】 「罪悪感があるからよ。」と、コトハは言った。 僕はまた、いつの間にか、目の前にコトハがいることを忘れていた。そして、そのコトハの言葉に、僕は心の内を見透かされているような気がして大きく動揺した。 胸の呼吸か心臓の鼓動かは分からないが、胸の奥が、やたらドキドキしている。ただ僕は無言のまま、コトハの目を見つめている。 コトハは静かに続けた。 「お兄ちゃん。コトち […]
【罪悪感があるからよ。】 しばらくしてから、また、コトハはゆっくり「基礎知識の講義」を始めた。 「実際、お兄ちゃんの体の中でも、その当たり前で、普通のこと、つまり、生かし合いと助け合いが、毎日、行われているの。 例えばお兄ちゃんが御飯を食べると、お兄ちゃんの頭や手や足が、胃袋に献血するの。 お兄ちゃん、知ってた?お兄ちゃんの頭や手や足が、『胃袋さん、消化、ご苦労様!これっぽっちしかないけど…。ボク […]