幸せの方程式(34)
【 インディア ⑥ お別れ 】
僕は、シャンカールのヨガ道場に戻り、帰りの身支度を整えた。
シャンカールは、にこやかな表情で道場の外まで、僕を見送った。
シャンカールは、僕の逝き先をガンジスから日本へと切り替えた。
僕を出迎えた時の無表情なシャンカールは、もう、そこにはいない。
手を千手観音像のように振り回し、「アチョチョチョチョチョー!」と高音の声を出しておどけ、優しく手を振って僕を送り出した。
僕は100メートル進み、ゆっくり回れ右をして両手のひらを胸の前で合わせ、深く長くお辞儀した。
精一杯の感謝の気持ちを込めて。
「ナマステ
(あなたの神聖さを、尊敬し感謝します。)」
100メートル先の彼も、両手を胸の前で合わせている。
「ナマステ
(あなたの神聖さを、尊敬し感謝します。)」