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自分が好きになる

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(19)

【殺される?】     僕とコトハの間にどれくらいの沈黙があっただろうか?   ひさかたぶりの兄妹げんかは、「だから! お兄ちゃんとユリさんが一つじゃないなんて、おかしいのよ!」 というコトハの一言で、あっけなく幕を閉じた。   僕とコトハが沈黙している間、セミたちが兄妹げんかの熱を一生懸命冷ましてくれた。 コトハは熱が冷めたことを確認し、静かに語り始めた。 […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(17)

【高校時代】     中学3年の終わり、二人は同じ公立高校を受験した。 ユリは頭が良かった。偏差値の高い進学高校に、入学できる学力を十分に持っていた。でも、ユリは僕と同じ最寄りの公立高校を受験した。 ユリの両親や担任の先生は「もっと偏差値の高い進学高校を受験したらどうだ。」と、ユリを説得した。 しかし、ユリは言った。「遠い高校は通学が疲れる。近くの高校のほうが友達もたくさんいて […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(16)

【中学時代】     僕とユリとは、中学校でも同じ部活に入った。 小学時代の暗黙のルールが、僕たちから恋愛を仲間はずれにしたように、暗黙のルールが、僕とユリとを吹奏楽部に押し流した。 特に二人で相談した訳でも、約束した訳でもなかった。でも、二人が吹奏楽部に入ったことを確認し合った時、「やっぱり。」とお互いに安心した。僕たちは、恋愛を仲間はずれにしながらも、吹奏楽部に入ることでお […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(15)

【小学時代】     ユリとは幼馴染(おさななじみ)で、小学一年の時、同じクラスになった。   その頃から僕とユリとは普通に仲が良かった。   お互い音楽が好きで小学4年の時、二人は音楽クラブに入った。   僕はパーカッション、ユリはオルガンや鍵盤ハーモニカの担当だった。   演奏を練習する傍ら、休憩時間や練習終了後に、僕はユリから音符の […]

本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(14)

【ひさかたぶりの兄妹げんか】     コトハは、声のトーンを落とし真顔で言う。 怒っているようだ。 「だから、み~んな一つなの!お兄ちゃん、自分で言ったのよ!ヒマワリの種は一つ。宇宙も一つ。お兄ちゃんも一つ。コトちゃんとお兄ちゃんも一つ。 そして、そんなの当たり前っつうか普通のことじゃんって、お兄ちゃんが言ったのよ! だから、み~んな一つっていうことが当たり前で普通なの! こん […]