本当の自分に出会う物語「コトちゃんはひきこもり」(26)
【もう一つのウソ】 「じゃあ、本当にこれで最後ね。これが理解できたら、コトちゃん基礎講座の卒業証書を授与いたしま~す。コトちゃんも、そろそろバイトに行かなきゃならない時間だからね~。」とコトハはまた、ふざけて言う。 「バイト?」 「うん、ちょっと前から始めたの。」 「ふーん。」と僕が頷き終わる前に、コトハがまた話し始めた。 「さっき、ケアレスウィスパーはお […]
【もう一つのウソ】 「じゃあ、本当にこれで最後ね。これが理解できたら、コトちゃん基礎講座の卒業証書を授与いたしま~す。コトちゃんも、そろそろバイトに行かなきゃならない時間だからね~。」とコトハはまた、ふざけて言う。 「バイト?」 「うん、ちょっと前から始めたの。」 「ふーん。」と僕が頷き終わる前に、コトハがまた話し始めた。 「さっき、ケアレスウィスパーはお […]
【それだけのこと】 しばらくして、コトハが2杯目のアイスコーヒーを持ってきた。というより、僕がアイスコーヒーを飲みたいと思ったとおりにコトハが動いて、アイスコーヒーを持ってきた。 コトハは、相変わらず静かだが力強い言葉で話す。 「お兄ちゃん、自分を責めないでね。今回の経験はお兄ちゃんの中の罪悪感を知るためには、とってもいいことだったの。コトちゃん、最初にお兄ちゃんは永遠 […]
【コトハの影響を受けた僕は】 「アイスコーヒー。もう一杯持ってくるね。」と言ったきり、コトハはなかなか戻ってこなかった。が、僕にとってそれは好ましい状況だった。とにかく、少し一人で考えたかった。 コトハの影響を受けた僕は、「たぶん、僕が一人で考えたいと思っているから、コトハは戻ってこないのだろう。」と考えるようになっていた。 僕はユリと一ヶ月 […]
【お兄ちゃんの素晴らしさに気づかせてなるものか!】 コトハは、語気を強めて言う。 「お兄ちゃんは、確かに勉強もできない。仕事もできない。お金も稼げない。 でも、お兄ちゃんには、優しさが『ある』の。お兄ちゃんには純粋さが『ある』の。」 「褒めてるんだか、けなしてるんだか、分かんないんだけど…。」と、いじけるように応える僕。 「褒めてんのよ!コトちゃんも、そんなお兄ちゃんに何度も、助けら […]
【ケアレスウィスパー】 コトハが、言う。 「とにかくお兄ちゃんは、『ユリさんと一つ』という普通で当たり前の状態にいた。でもお兄ちゃんは、不幸を選択してその状態から離れてしまった。きっかけは、お兄ちゃんが会社をクビになったこと。」 僕は、「クビじゃねえし。自己都合退職だし…。」と、言い訳するかのようにブツブツ反論したが、相変わらずコトハは、静かに力強く話し続ける。 「とこ […]