幸せの方程式(9)
【 生=死② 夜の夢 】
「ユウは、夜、寝ている時に、夢を見たことがあるだろ?」
「その夢は、誰が作ったのかね?」
「ミーが作った夢を、ユウが見たわけではないことくらいは分かるね。」
「では、ユウのマミーが作った夢を、ユウが見たのかね?」
「それとも、ユウのパピーが作った夢を、ユウが見たというのかね?」
「ユウは、なぜ、こんな基本的な質問に、すぐに自信を持って、答えられないんだ?」
「だから、『ユウは学校に行ったのか?ユウは学校で何を勉強したんだ?』と、さっき聞いたのだよ。」
シャンカールは、無表情なまま、ゆっくりと、静かに、僕の心との対話を続けている。
「ユウは、『自分が作った夢を自分で見ている』という基本的な事実すら、学校で教わらなかったというのだね。」
「日本という国は、いったい何を教育しているのだろうかねえ…。」
シャンカールは、しばらく、口を閉ざした。
もちろん、僕も、口を開けない。
僕の心には、何も思い浮かばないからだ。
45秒間の沈黙を破り、シャンカールは、ため息をつくようにフーッと息を吐いてから、また、静かに僕の心との対話を再開した。
相変わらず、無表情のままだ。
「寝ている時のユウと、目覚めている時のユウとは、別人なのかね?」
「寝ている時のユウと、目覚めている時のユウは別人でなく、同じ人物なのだとしたら、
目覚めている時のユウも、寝ている時のユウと同様、
『自分で作った現実を、自分で見ている』という真実に、
ユウは、ナゼ気づけないのだ?」